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【オンライン新人研修の効果的実施策】第1回 研修講師から見た、新入社員の特徴と変化

2021.09.09

長年にわたり多くの IT 系企業で新人研修の講師をつとめ、2020 年・2021 年にはオンラインでの新人研修を成功させた矢吹哲也講師が、近年の新入社員の特徴、企業型アクティブラーニングなどオンライン新人研修の効果的実施策を解説する連載です。

第1回は「研修講師から見た、新入社員の特徴と変化」です。

はじめに ― コロナ禍で広がったオンライン新人研修

2020年3月13日に成立した新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく措置として、2020年4月7日から同年5月25日までの間(途中、期間延長、区域変更あり)新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発令された。

3月の特別措置法成立段階から、企業は、4月からの新入社員研修を集合や対面という従来型の方法で行うことに強い懸念を示した。研修の中止や延期を余儀なくされた企業もあった。

ビデオ会議システムの活用のはじまり

コロナ禍以前、Zoom や Microsoft Teams などのビデオ会議システムを活用している企業はごく一部であり、ましてや研修環境で使用しようという発想はほとんどなかった。突然の緊急事態となった春、当社(エディフィストラーニング)で決断したのが Zoom を活用したオンライン研修環境の提供であった。

2020年4月から一年以上が経過し、これまで多種にわたる研修がオンライン化され、多くの実績を積んできた。そのノウハウを活かし、2021年4月からの新入社員研修では、迷うことなく自信をもってオンライン形式での実施を提案し、またオンライン形式の実施を希望される企業も圧倒的に増加した

 

オンライン研修で手法は変わったか

さて、オンライン形式での新入社員研修環境はある程度は整った。しかし、オンライン環境下における研修の進め方などの手法や運営方法、カリキュラム内容について考察してみると、オンラインでも従来の集合や対面時の手法をそのまま踏襲している企業が多いのではなかろうか。

当コラムでは、3回に分けて、オンライン研修環境下での新入社員研修において、集合・対面など従来型からの手法の転換や意識改革を推奨すべく、「オンライン新人研修の効果的実施策」として、筆者の経験から得た推奨策を述べていきたい。

■連載予定

本連載は、こんな企業様におすすめです
【中堅のシステムインテクレータやソフトウェア開発企業】

・第1回 研修講師から見た、新入社員の特徴と変化
・第2回 オンライン環境で効果を発揮する企業型アクティブラーニングの導入と運営
・第3回 配属先に継承する受講者評価の視点

研修講師から見た、新入社員の特徴と変化

まずは私の講師経験をもとに、過去4年を振り返って、現在の若年層の中でも新入社員に絞り込み、一般的な研修要素と照らし合わせて考察してみる。

ここでいう若年層とは、統計では「15~24歳」または「15~34歳」程度とされているが、ここでは新入社員を対象とすることから「18~24歳」とする。高校卒から大学院卒である。なお、私が講師として担当した企業の新入社員については、高卒から大学院卒と幅広く採用されている企業や、大卒と大学院卒のみの企業などさまざまであるため、総論であることをご承知置きいただきたい。

(1)ビデオ会議システムへの順応性

デジタルネイティヴ世代の彼らは、オンラインゲームや動画撮影・閲覧などを趣味としている人が多く、スマホやタブレット、パソコンなど、デジタル機器の操作には慣れている。また情報交換や友人とのコミュニケーションにおいても、LINE や Facebook などの SNS を上手く活用している。買い物は Amazon などのネットショップを活用しているため、自分が興味のある分野についての商品の調べ方や価格相場、比較対比の仕方も心得ている。ネットワークを介してのサイトの活用方法については問題ないであろう。

2020 年の新入社員研修環境として急遽導入した Zoom でも、操作面にて大きな支障は発生しなかった。また 2021 年は、一年間オンライン授業を受けてきた彼らにとって Zoom 等のビデオ会議システムはもはや当たり前の環境であるため、逆に彼らから有効的な使い方を教授してもらう場面もあったくらいである。

したがって、ビデオ会議システムの操作面についても、クラウドストレージの操作についても、大きな支障はないと考えられる。

(2)双方向コミュニケーションの課題

総体的に人物事を冷めた目で見る印象を持つ彼らであるが、単に新しい環境に慣れていないだけであり、非常に真面目である。また、学生時代から在宅という閉ざされた環境でオンライン教育を受けてきた彼らは、入社後の同期との直接対面での交流に意欲も持っている。

そのためか、オンライン環境下で、ビデオをオンにしての1対1の会話も比較的スムーズで、コミュニケーションについては何ら問題はなさそうであるが、強いて申し上げるなら、オンライン環境で1対 n になった瞬間、そう・・・講義が始まった瞬間に皆一斉に影を潜めてしまう印象を受ける。

従来のように皆が一か所に集まった集合・対面形式の講義の場合、彼らは隠れる場所が無く、直接行動を目視されるため、自ら行動を起こし、言動力も高めていかないといけない。またすぐ隣に同期がいるので会話もしやすいため、講師と受講者、あるいは受講者と受講者の双方向のコミュニケーションが成り立ちやすい。

しかしオンライン環境下では、講師はビデオ画面から全員の顔が見え、表情も分かるため、ある程度の状況確認ができるが、受講者側の環境を考えると、ひとり一人が孤立した感覚に陥るため、「会話をしたくても直ぐに行動に移せない」「質問するタイミングが難しい」という心理に陥ってしまう。

そのため、1対 n のオンライン環境で静かに影を潜めた彼らを「参加意識に欠ける」とか「意欲がない」などと、安易な判断や評価をしてはならない。これは、新入社員だけに限らず、我々もそうではないだろうか?

ちなみに、最近の若年層は他者から強制させられることも嫌う傾向があることも付け加えておく。

このことから、オンライン環境下での新入社員研修の課題の一つとして、彼らの交流意欲を受け取り、オンライン環境でいかに、

(1)自主的・自発的・能動的に活発な交流を実現できるか
(2)複数人でのコミュニケーション力を、いかに引き出し底上げすることができるか

があると言える。

(3)情報処理の基礎スキル

最近は、普通科高校、大学の文系でも情報系の教科があり、IT系企業に入社を希望する学生の殆どが、入門から基礎レベルの情報処理の知識は、ある程度習得している。また、内定段階から基本情報技術者資格取得を推奨している企業が多く、入社時に午前免除まで辿り着いている人も少なくない。

これには個人差があるので、全員そうとは言い切れないが、基礎知識習得のため学習は済んでいると判断してもよいだろう。なので敢えて、新入社員研修に、情報処理試験対策のニュアンスのあるカリキュラムを設定する必要はないと考える。カリキュラムとして設定するならば、実践に繋がる内容のカリキュラムを設定すべきである。

(4)オフィスツール操作のスキル

表計算ソフトやワープロソフト、プレゼンテーションソフト等のオフィスツールについての操作も、ある程度は学校の教科で使用はしているが、実務で使用するにあたり、効果的な活用方法や効率的な使用方法を理解しているかといえば、そうでもない。新入社員の配属先が営業部門や管理部門の場合は、「応用的な使用方法」として別途カリキュラムに組み込むか、配属先で学習することをお勧めする。

(5)アルゴリズムやプログラム言語のスキル

普通科高校や大学の文系を専攻していた方は、アルゴリズムやプログラム言語の机上学習を行ったことはあるが、実装や実践を行った経験者は少ない。逆に、高専や大学、大学院で情報系を専攻していた方は、プログラム言語やシステム開発系の研修など必要ない程に技術力は高い。

これは、近年の傾向ではあるが、学生時代の学習内容と学習方法などの質は、以前と比較しても比べ物にならない程向上しており、またデジタルネイティヴの彼らである。今までのように、テキストと講師を頼りに、ひとり一人が自力でゼロベースからアルゴリズムやプログラムを組み上げる方式が本当に適切なのであろうか。考え方を一新する必要がある。

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連載第1回目は、過去4年を振り返り、研修要素に絡めた新入社員の考察を行ったが、ここではほんの一部だけを述べさせていただいた。もちろんここでの考察は、企業の業種業態、文化によって研修要素は変化し、新入社員ひとり一人も生活感によって変わってくるが、若年層それも新入社員を総体的に考察した場合、ズレてはいないと考える。

次回(連載第2回)は、この考察から、新入社員自らが「自主的、自発的、能動的」に行動ができるようになる施策を考えていきたいと思う。

連載一覧

第1回 研修講師から見た、新入社員の特徴と変化(本記事)

第2回 オンライン環境で効果を発揮する企業型アクティブラーニングの導入と運営(予定)

第3回 配属先に継承する受講者評価の視点(予定)

講師紹介 矢吹哲也

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