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PM(プロマネ)

【マネジメント実践】PMが陥りがちなプロジェクト計画の落とし穴

2021.04.14  最終更新:2021.05.11

プロジェクトマネージャー(PM)にはプロジェクトの迷走や炎上を経験している方も多く、その原因として自らのプロジェクトの計画・目標設定能力の不足を挙げる方も少なくありません。本記事では、PMが陥りがちなプロジェクト計画の落とし穴と、プロジェクトを成功へ導く計画策定のポイント、PMが身に着けるべきスキルを紹介します。

プロジェクトを失敗させる、ダメなプロジェクト計画とは

プロジェクトの実行責任者であるプロジェクトマネージャー(PM)には、プロジェクトを成功に導く責任があります。PM経験者の中には、自らの知識や経験の不足からプロジェクトが迷走、炎上し大変な思いをしたという方もいるでしょう。

「プロジェクト推進に関する意識調査」(実施:株式会社ネオマーケティング)によると、プロジェクト業務がある企業のビジネスパーソンのうち、38%もの方が、「PMが原因でプロジェクトが迷走や炎上した経験がある」と回答しています。

具体的な炎上の原因としては、「プロジェクトに関わる人たちの合意形成ができていなかった」(48.9%)、「プロジェクトの進捗を見える化しなかった」(41.7%)、「計画・目標設定能力が足りなかった」(39.8%)などが挙げられ、多くの方がPMのプロジェクト計画策定・遂行能力に課題を感じていることがわかります。
※参照:株式会社ネオマーケティング「プロジェクト推進に関する意識調査」

プロジェクト計画の策定は、システム開発プロジェクトにおけるPMの最初の仕事です。プロジェクト計画は本来、自分たちがこれから取り組むプロジェクトの特性を鑑みて策定すべきものですが、その実情は、過去の計画書や社内標準テンプレートを流用し、形だけを整えたものであることが少なくありません。

プロジェクト計画書とは、言い換えると「プロジェクト遂行中の意思決定の判断基準を規定したドキュメント」です。形だけの計画書は、判断基準として使えず、代わりに次のような問題を招きます。

・人員アサインのミスマッチが起きる
・プロジェクトが進むにつれて、予定通り進まなくなってくる
・リスクや問題が生じた時の対応が後手後手
・テストで欠陥や変更要求が多発して、炎上する

そして、ダメなプロジェクト計画書をもとに進んだプロジェクトは、ゴールの達成が難しくなり(そもそも目指すゴールが曖昧になりがち)、最終的に「失敗」へと導かれていくのです。

炎上リスクを下げるプロジェクト計画のポイント

成功するプロジェクトには、プロジェクト遂行の羅針盤となるような、しっかりとしたプロジェクト計画が必要です。

では、失敗するプロジェクト計画書はどこがダメで、どう改善すればよいのでしょうか。PMBOK理論のフレームワークにのっとって整理してみます。

①プロジェクトの目的とゴール:曖昧さを放置しない

ダメなプロジェクト計画書は、プロジェクトの目的とゴールが曖昧です。これらはプロジェクトの立脚点ですから、その曖昧さは当然、プロジェクト計画で規定することすべてに影響します。目的とゴールが曖昧な計画書は、意思決定の判断基準たりえず、段取りや仕切りにも影響し、リスクや問題が生じた時の対応も後手後手になります。PMとしてプロジェクト計画書を書く際には、目的とゴールは明確にすることに尽きます。

②スコープの定義:顧客のビジネスゴールを把握する

PMの目標達成能力が低く見えるとき、その真の問題はスコープにあることがあります。スコープの定義においては、顧客のビジネスゴール、言い換えると「顧客がシステム導入により何を達成したいのか」の把握が極めて重要です。ビジネスゴールが把握できていないと、プロジェクトとして何を目指せばいいのか常に暗中模索。ゴール達成はかなり厳しいものになります。

顧客への「提案段階」と「受注後のプロジェクト発足段階」では、顧客のビジネスゴールが変化している可能性があります。プロジェクト計画書を策定する段階で、必ず顧客へ確認することが重要です。また、顧客自身がビジネスゴールを掴み切れていないケースも多くあります。その場合は、「顧客と共に考えてあげる」ことが大切ですが、顧客に成り代わってPMが提示してあげるのは、顧客の当事者意識の低下につながり炎上のリスクとなるため、おすすめしません。

③プロジェクト体制:メンバーのスキルは3軸で見る

よくあるのが、現状空いている人員がメンバーとして組まれることになっているもの。本来はプロジェクトの特性を鑑みて、必要なメンバーで体制を組むのがあるべき姿ですが、実際はなかなかそうもいきません。PMができる打ち手で効果があるのは、組まれたメンバーのスキルを技術力、コミュニケーション力、行動力の3軸で見て、フェーズによって役割を変えることです。

スキルを技術力だけで判断すると、役割の割り当てを誤りやすくなります。たとえば、要件定義で技術力は高いがコミュニケーション力の低いSEをアサインしてしまうと、顧客の要求を引き出しきれず、後で変更要求が多発するリスクが大きくなります。要件定義にはコミュニケーション力が高いSEを、設計には技術力が高いSEをと、工程ごとにアサインを変化させるのがポイントです。

④スケジュール:まずはToBe(理想解)、つぎにCanBe(現実解)

納期ありきでスケジュールやWBSを組むと、最初から実現不可能なスケジュールとタスクができあがります。すると、最初はなんとかなっても、プロジェクトが進むにつれて予定通り進まなくなってきます。大概は基本設計の中盤あたりから遅れが顕在化し、また、本来前工程で実施すべきタスクが漏れていて、テストで変更要求が多発して炎上……はよくあるパターンです。

プロジェクトに納期はつきものです。しかし、納期ありきでスケジュールを組むにあたっても、工夫一つで炎上リスクを下げることができます。まずは「ToBe」理想のスケジュールとWBSを組んだうえで、次に「CanBe」納期を鑑みた現実的なスケジュールに落とし込む、という2段階でスケジュールを作成するのです。これによって、納期を意識した上で何を優先して何を捨てるべきかが見えてきます。

⑤リスクマネジメント:対応策まで計画書に盛り込む

リスクを洗い出して「終わり」にしていると、プロジェクト遂行中に問題となって現れます。計画策定段階で分かっているリスクは、プロジェクト全体に影響するリスクであることが多いため、炎上の引き金になりやすいのです。リスクを洗い出したら、リスクへの対応策を考え、プロジェクト計画書に盛り込むことが重要です。

たとえば、テスト用機材の調達が間に合わないというリスクがあるならば、軽減策としてテストの順序を変える、テストフェーズのバッファを精緻に予測する、などです。言われてみれば当たり前に思えますが、「調達リスクあり」と計画書に書き込んで終わり、というケースが非常に多いのです。これではリスク洗い出しの意味がなく、問題発生時への対応が遅れてしまいます。

いかがでしょうか。プロジェクト計画の重要性と、そのポイントをご理解いただけたかと思います。プロジェクトマネージャーを務める方には、ぜひこの「プロジェクトを成功へ導く」プロジェクト計画策定スキルを身に着けてほしいと思います。

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プロジェクトを成功へ導くには、その第一歩であるしっかりとしたプロジェクト計画の策定が重要です。顧客やメンバーと十分に議論・確認したうえで、落とし込んで行くことが重要です。

エディフィストラーニングでは、小規模から大規模まで、どのような規模のITシステム開発プロジェクトにも対応できる、プロジェクト計画策定とプロジェクトマネジメントの実践的な技法が修得できる研修をご用意しております。企業の人材育成方針やスキルレベルに応じた研修カリキュラムのご提案もいたします。ぜひ貴社のプロジェクトマネジメント力を上げるためのトレーニングとしてご検討ください。

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